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けせん Ra・Shi・Ku

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大船渡湾のカキを手軽に楽しんでほしい

 大船渡市の仮設商店街「大船渡屋台村」に今年1月、「牡蠣とワインのある店 湾岸食堂」がオープンし、カキ好きの間で早速人気になっている。気仙地域初のオイスターバーでシェフを務める及川東(あずま)さんは「地元の若い人たちが手軽にカキを楽しめる店にしたい」と料理に全力を注いでいる。
 大船渡屋台村は2011年12月に始動。震災後の地域を活気づけてきたが、5年たって空き店舗が出てくるようになった。屋台村は”にぎわいが身上“なだけに「夜の明かりを増やさなければ」と、大船渡湾を周遊する屋形船・潮騒の運営で同店が誕生。地元生産者と連携し、大船渡湾で養殖したカキを使っており、特殊な冷凍技術によって1年中生ガキが提供できる。五葉山の森の栄養が注ぎ込む豊かな海で育ったカキは絶品。及川さんはワインに合うさまざまな料理を提案しながら大船渡の夜を盛り上げている。営業時間は17時~23時、不定休。問い合わせ先は、0192(47)4131。

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カキ好きにはたまらないメニューの前で笑顔を見せる及川東さん(左)とスタッフ

消費者向け新商品で大船渡を発信したい

 大船渡市の水産加工会社「森下水産」は、サケとクリームチーズのスプレッド「モリーくんのふわっとろサーもん」を発売した。震災前から業務用事業を手掛けてきた同社が、「水産のまち大船渡をPRしたい」と一般消費者向けに開発した新商品。パンやクラッカーに塗ったり乗せたりして食べられる簡単・便利な商品で、森下航生(こうき)取締役本部長は「おいしい魚を手軽に食べてもらいたい」と話している。
 同社は新事業拡大のさなかに東日本大震災に遭い、本社工場をはじめ3つあった建物全てが被災した。それでも航生さんの父である森下幹生社長が「産業が戻らないとまちが戻らない」と早期復旧に努め、震災後1カ月で自社のがれきを撤去、その年の7月に一部生産を再開。昨年2月には第三食品工場が完成し、復興への歩みを力強く進めている。「より広く大船渡を知ってもらえる商品を開発し、足を運んでもらうきっかけを作りたい」と意気込む航生さん。スプレッドは60グラム入り500円(税別)で、同市盛町の「ル・トレフル」、盛岡市のカワトクで販売されている。

写真/新商品を手にする森下航生さん

三陸らしいワインを造りたい

 陸前高田市米崎町の老舗ブドウ園「神田葡萄園」から、自社醸造ワイン「THE RIAS WINE(ザ・リアス・ワイン)」が発売された。記念すべき第1弾は生でもおいしく食べられる品種「キャンベルアーリー」で作ったロゼの甘口・辛口の2種類。6代目社長の熊谷晃弘さんは「被災から立ち上がった今こそ三陸らしいワインを造りたい」と意気込んでいる。
 1905(明治38)年創業の同社。「マスカットサイダー」などのジュースで親しまれているが、創業当初から50年間ほど「恵比寿葡萄酒」の銘柄でワイン造りも手掛けていた。6代目による自社醸造の再開は「ワイン造りをしていた初代と2代目の思いを受け継ぐ」という原点回帰でもある。熊谷さんが目指すのは、豊富な海の幸に代表される地元の食材に合うワイン。「三陸の食文化をワインによってさらに豊かにしたい」と考えている。第1弾の1000本は2日で完売。初年度の今年は6商品約6000本の販売を計画している。

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ブドウ栽培から醸造までを自社で手掛けた「ザ・リアス・ワイン」を手に笑顔を見せる熊谷晃弘さん

卵をかえすように「新しいまち」を育てていきたい

大船渡市に昨年12月、商業地の再生や運営を行うまちづくり会社「キャッセン大船渡」が設立され、新しいまちづくりが大きく動き出した。同社のタウンマネジャーに就任したのが、群馬県出身の臂徹(ひじ・とおる)さん。「大船渡は碁石海岸のような魅力的な地域資源が点在し、観光のポテンシャルが高いまち。人との触れ合いが楽しめるまちをつくりたい」と意気込んでいる。 
 同市では中心市街地の再生を目指す「津波復興拠点地区整備事業」がJR大船渡駅周辺で進行中。臂さんは大槌町の復興計画策定に従事したのを皮切りに被災地での活動を続けており、同市がエリアマネジャーを募集していることを知り「新しいまちをつくるために奮闘する商業者たちを手伝いたい」と入社を志願した。地元の人が再び安心して過ごせるまちをつくり、いかに新しい客を呼び込むか。同市の魅力を発掘しながら「ゼロからのまちづくり」に挑んでいる。

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まちづくり会社「キャッセン大船渡」のタウンマネジャーに就任した臂徹さん

ツバキの魅力を感じてほしい

 「三陸・大船渡つばきまつり」が3月21日まで、大船渡市末崎町の世界の椿館・碁石で開かれている。ツバキが自生する北限の地として知られる同市の恒例イベント。国内最大級の展示数を誇る同館の林田勲館長は「バリエーションの豊富さがツバキの魅力の一つ。ゆっくり観賞して自分好みの花を探してください」と来館を呼び掛けている。
 同館は東日本大震災で約3カ月にわたり断水。最小限の水でツバキを生かすため全体の3分の1ほど枝を落とし、週に2回内陸部の井戸から水を運んでツバキを守り続けた。木の枯死は回避したものの「2~3年は今までのように花が咲かない」と翌年のまつり開催は諦めていた林田館長。そこに、同館の苦境を知った全国のツバキ愛好家から多くのツバキが寄付され、林田館長らを勇気づけた。震災後もまつりは途切れることなく続き、花の最盛期に合わせて今年も開幕。世界13カ国、約600種の色とりどりのツバキが来館者を魅了している。

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咲き誇るツバキの前で笑顔を見せる「世界の椿館・碁石」の林田勲館長

三陸サイコー商店会から地域に元気を

 大船渡市三陸町越喜来の「三陸サイコー商店会」は昨年7月、同市で初めて「本設」での再建を果たした。同商店会協同組合の理事長・葛西祥也さんは「ようやく再建できたが、これからが本番」と喜びをかみしめながら決意を新たにしている。
 被災した商店や事業所10店舗が集まり、2012年2月に仮設商店街「浦浜サイコー商店会」としてスタート。県道整備のため同年のうちに立ち退きが決まり、仮設で営業を続けながら本設再建の道を探った。苦難続きだったが、それでも地元に残った商店主らの心にあるのは「2代、3代前から長年地域に愛されてきた」という地元への感謝の気持ち。本設オープンのイベントには多くの地域住民が駆け付け、再興した商店街を歓迎した。
 「今年は新たな挑戦の年。地元の特産を使った商品開発など、一歩前に出る活動をしていきたい」と張り切る葛西さん。商店会から地元を盛り上げていく。

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三陸サイコー商店会敷地内で笑顔を見せる葛西祥也さん

みんなが当たり前に働ける場所をつくりたい

 大船渡市出身の経営コンサルタント・関欣哉(せききんや)さんは昨年6月、高齢者や障がい者の就労の場をつくろうと、陸前高田市に一般社団法人ドリームプロジェクトを設立した。現在の主な業務は、同市に寄せられたふるさと納税に対する返礼品の梱こんぽう包・発送。「小さくても、みんなに幸せが行きわたる事業にしていきたい」と意気込んでいる。
 関さんは首都圏を中心に活躍する傍ら、震災直後から同市の支援活動を続けている。同市が復興のテーマに掲げる「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」をサポートしようと同法人を設立。返礼品の梱包・発送業務を受託し、障がい者や高齢者を雇用した。2015年の同市へのふるさと納税は、12月21日までに1万7480件、寄付金は2億円を突破。スタッフらは感謝の思いを込めながら、返礼品を包んだり、送り出したりする作業に追われている。障がい者も高齢者も「当たり前に働ける」場所をつくり、所得を上げ、住みやすいまちにしたい。プロジェクトは始まったばかりだ。

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ふるさと納税返礼品の梱包・発送作業を行う仲間たちと笑顔を見せる関欣哉さん(右から2人目)

歌で震災を伝え、地元を支援し続けたい

 「国道45号線」を歌う大船渡市出身のシンガー・ソングライター濱守栄子さんは、東日本大震災以来、CDの売り上げの一部を大船渡と陸前高田の両市に寄付している。今年10月、寄付した義援金が総額500万円を達成。濱守さんは「これからも歌うことで震災を伝え、地元に義援金を贈る活動を続けていきたい」と決意を新たにしている。
 子供の頃から歌うことが好きだったという濱守さんは、知人の誘いで参加した自主制作CDをきっかけに2009年CDデビュー。デビュー当初は会社員だった濱守さんだが、東日本大震災を境に音楽活動に専念。「国道45号線」で被災した故郷への思いを歌い、全国から共感を呼んでいる。リリース以来、売り上げの半分を寄付し続けており、10月下旬には大船渡市役所に戸田公明市長を訪ね、50万円を手渡した。「日本だけではなく世界にも震災を伝えたい」と、「国道45号線」の英語版を来年リリースする予定。”伝えたい“という思いと共に、濱守さんの歌声が広がっていく。

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戸田公明大船渡市長に義援金を手渡す濱守栄子さん

陸前高田の復興工事を加速させたい

 陸前高田市の高台造成地から市街地のかさ上げ地域へ土砂を搬出していた巨大ベルトコンベヤーがその役目を終え、10月から解体が始まった。工事に携わる大手ゼネコン・清水建設の峯澤孝永さんは「これでひと段落」と表情を和ませる。
 峯澤さんは同社など5社でつくる「陸前高田市震災復興事業共同体」の統括管理技術者。かつて新潟県の火力発電所建設でベルトコンベヤーによる土砂搬送を手掛けた実績があり、陸前高田の現場では全国から集まった作業員約500人を指揮している。初めて同市を訪れたのは2012年。市役所の解体が始まったばかりの市街地の姿に圧倒され、「何とか早く復興を」と心に誓った。約1年半のベルトコンベヤー稼働を無事終えた峯澤さんは「毎日夜通し保守作業をしたメンテナンスチームをはじめ、作業員みんなのおかげ」と作業員たちをねぎらった。「安全は当たり前。この工事はスピードも心掛けて進めたい」。峯澤さんの視線は事業完了のその先を見据えている。

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解体が進む巨大ベルトコンベヤーの前で陸前高田市の市街地を見詰める清水建設の峯澤孝永さん

大賞受賞を機に、販売の段階へ飛躍したい

 製麺や「IT木工」などを手掛ける陸前高田市のバンザイファクトリーが開発した「三陸甘露煮」が、「新しい東北」復興ビジネスコンテスト2015で大賞を受賞した。社長の髙橋和良さんは「震災直後から研究開発を続けた商品が認められ、とてもうれしい」と喜んでいる。
 コンテストは復興庁が設立した「新しい東北」官民連携推進協議会が主催。三陸甘露煮はワカメやカキ、アユなど気仙地区の食材を使った8種類で、普通の白砂糖は使わず、希少糖や甘茶で味付けして健康配慮の付加価値を高めた。小さいホタテやワカメの茎など販売しにくい素材を活用することで、生産者の収入増も狙う。並行して開発を続けてきた「椿茶」の発売も決まり、髙橋さんは「震災後の4年半は研究開発に明け暮れた。これからは販売の段階に移行する」と宣言。「いい商品を作って、社員が喜んで仕事をしてくれる、働くことが喜びになる会社にしていきたい」と意気込んでいる。
〔問〕バンザイファクトリー 0192・47・4123

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大賞を受賞した「三陸甘露煮」と、新ブランド「椿茶」のパッケージを手にする髙橋和良さん。商品は11月下旬から盛岡市のななっくなどで販売予定

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