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孤高のメス

2016年3月31日

 

 

こんにちは。

 

明日から4月。東北にもそろそろ桜の便りが届きそうですね。

今の季節にちょうど良い小説がありますので、ちょっとだけご紹介。

彩瀬まる「桜の下で待っている」です。

東北新幹線が舞台の連作小説で、郡山、仙台、花巻など東北の各地が出てきます。

そして裏表紙には岩手の方には馴染み深いソフトクリームが…!

 

桜の下で待っている 裏

 

気になった方はぜひお手に取ってご覧ください。

 

 

さて、今回紹介する映画は成島出監督「孤高のメス」です。

 

孤高のメス

 

時は1989年、大学病院からの派遣医師で成り立っているさざなみ市民病院で働く

看護師・浪子(夏川結衣)は大学病院からの派遣医師がいなければ外科手術もままならない

状況に辟易し、やる気を失っていた。

そのさざなみ市民病院へ市長(柄本明)が病院再生の切り札としてアメリカの大学病院から

呼び寄せた外科医・当麻(堤真一)が赴任してくる。

運ばれてきた急患が市民病院では処置できないと大学病院へ搬送しようとするが、

当麻は素早く処置し、短時間で無事に手術を終わらせる。

地域医療の底上げ、目の前の患者を救うことを身上とする当麻の姿勢に、

周囲の医師、看護師が触発され、市民病院が変わり始める。

そして、当時まだ法制化されていない脳死肝移植に挑むまでを描いた、本格的医療映画です。

 

素晴らしい経歴も技術も持ちながらも、出世などには一切頓着せず、

目の前の患者を救いたい、ただそれだけ!というヒューマニズムに溢れた当麻先生が

ただただ素敵です。

格好つけるでもなく、誠実であり、こんな人格者いない!と思わせておいて、

オペ中に都はるみの演歌を流したり(しかしスタッフには不評)、ちょっと抜けているのが

また魅力の一つです。

 

見栄や体裁への執着、幅を利かせる派遣医師、慣例に縛られ本来あるべき姿を

見失っていたさざなみ市民病院のスタッフが、当麻に同調しモラルも技術も上がっていき、

見るからに生き生きしていく様子はとても爽快です。

 

自分の失敗を隠蔽しようとする先輩医師に盾突くものの、しがらみに絡め取られ

医師としてのやる気を失っていた若い医師に対して当麻は

「医師になることより、医師であり続けることの方が難しい」という言葉をかけるのですが、

ずっしりと重さを感じる一言で、一番印象に残っています。

何においてもそうですが、当初の熱意や志しを維持していくことが物事を続けていく中で

一番大切なことなのだと改めて気づかされます。

 

市長が自覚症状ないまま末期の肝硬変で突然吐血し倒れ、肝臓の移植手術をしなければ

助からないことがわかるのですが、時を同じくして、浪子の隣の家に住み浪子の恩師でもある

静(余貴美子)の高校生の一人息子が交通事故で脳死状態になります。

ボランティア活動に熱心で、福祉大学への進学が決まっていた息子ならば人の役に立つ

この選択を望むはずだ、と静は息子の肝臓を市長に移植して欲しいと訴えるのですが、

もうこの件は思い出しただけも視界がぼやけて…。

現在ではきちんと法制化されていますが、何事も黎明期にはトラブルや批判を乗り越えた

先人がいてこそ、今があることを感じます。

息子を送り出す余貴美子の演技も大変素晴らしく、涙腺の弱い方はハンカチよりも

タオルを準備してみることをおススメします。

その他にも実力のある俳優の豪華共演で、派手さはなく地味ですが骨太で

心の底からジワジワと熱くなる映画です。

 

さて、次回も堤真一が主演の映画を紹介します。

北関東の架空の新聞社を舞台に、未曽有の航空機事故を取材する新聞記者の奮闘を

描いた映画です。

(敬称略)

 

 

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