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スタッフブログ

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サマーウォーズ

2016年6月23日

 

 

こんにちは。

 

梅雨になると私はこのブログの初回で紹介した新海誠監督「言の葉の庭」が観たくなります。

新海監督の最新作「君の名は。」が8月26日に公開になります。

今から楽しみです。

 

さて、今回紹介するのもアニメーション映画です

細田守監督「サマーウォーズ」です。

 

サマーウォーズ

 

国際数学オリンピックの代表に漏れた高校2年生の健二(声:神木隆之介)がしょぼくれ、

仮想空間OZ(オズ)のメンテナンスのバイトをして夏休みを過ごしていたところ、

憧れの先輩・夏希(桜庭ななみ)に長野の祖母・栄(富司純子)の家に一緒に行くという

バイトに誘われる。向かった先は武家の血筋を引く由緒正しき陣内家。

あまりの大きさに圧倒される健二。栄の誕生日のために集まった大勢の親戚一同を前に

夏希にフィアンセとして紹介され、慌てふためく。

その夜、健二の携帯に「Solve me(解いて)」と謎の数列が書かれたメールが届き、

数学の問題だと思い解いて返信したところ、翌朝大変な事態に…、というのがあらすじです。

 

仮想空間OZというのは今のSNSの超拡大版といったところでしょうか。

自分の分身となるアバターを設定してOZ内で買い物もできるし、

瞬時に翻訳してくれるので世界の人達とコミュニケーションをとることも可能、

スポーツ観戦をしたり、公的な手続きもできちゃうのです。

超便利!

その仮想空間は高度なセキュリティで守られているのですが、そこにラブマシーンという

AI(人工知能)が跋扈し、人のアカウントを盗んではその人に成りすまし、

システムに悪さを加え、それが現実世界にも悪影響を及ぼしてしまいます。

カーナビがおかしくなったり、消防や救急に不要不急の指令が入ったり。

健二も自身のアカウントを盗まれ、この混乱の犯人に仕立て上げられてしまうのです。

 

なにやら大変なことが起きている…!けど、現実世界、とりわけ陣内家は、

おばあちゃんの誕生会をどうやって執り行うか、という事の方が一大事。

田舎の牧歌的な生活が普段通り営まれている、この対極な描かれ方が私は大好きです。

食卓にのぼる夏野菜の数々、そして親戚が一堂に会して食事をする風景は

幼い頃に行った夏休みのおばあちゃんちを思い出す人も多いと思います(私はそうでした)。

しかし、このラブマシーンを開発したのは栄の夫の妾の子・侘助(斎藤歩)で、

一族の財産に手を出して姿を消した鼻つまみ者。

アメリカから久しぶりに帰ってきたと思ったら世間を混乱の渦に落としいれた張本人が目の前に…。

そんな侘助に槍で襲い掛かる栄おばあちゃんが勇ましすぎますが、

AIを開発しそれで得たお金を恩返しとして栄おばあちゃんに返そうとしているので、

なんだか憎めない…。

この混乱を身内が起こしたならば身内で方をつける!と栄おばあちゃんが発破を掛け、

陣内家及び健二は事件の解決に乗り出します。

こんな田舎の普通の家に何ができるのか?と思うかもしれませんが、

この一族、なかなかのツワモノ、曲者揃いなのです。

ひとりひとりは普通の人かもしれませんが、三人寄れば文殊の知恵と言います。

総勢27人(+犬)でラブマシーンに挑みます。

 

ネットなどの最先端などを描きながらも栄おばあちゃんは黒電話を使っていたり、

世間が混乱しているさなかに日本の夏の風物詩である高校野球の地区予選の試合に

一喜一憂していたり、対極のことが描かれているのですが、

家族や親戚、昔ながらの付き合いによる現実世界のつながりと

ネット上の顔も名前も知らない世界中の人との新しいつながりが世界を救う、

という古きのよさも新しきのよさを同時に描いているところが、

この映画の素晴らしいところだと思います。

私は全然花札のルール知らないんですが、陣内家と一緒に「こいこい!」って言いたくなるし、

パソコンのエンターキー押しながら「お願いしまぁぁぁす!」って叫びたくなる(はず)です。

分かりやすいストーリーなので小さい子も楽しめるし、大人が見てもなかなか深いので、

親戚一同が集まった時の一本にぜひ!

 

 

さて、2013年6月に始めましたこのブログですが、今回で更新終了となりました。

私の独断と偏見で本や映画を連想して紹介してきましたが、

紹介されてた本読んだよ~!おもしろかった!という声もいただき、大変うれしかったです。

これ紹介するのどうかな~?と思いつつ紹介したマーカス・デュ・ソートイ教授の

「素数の音楽」に一番レスポンスがあったのには驚きましたし、

数学は好きだけど本はあまり読まない方が興味を示してくれた本でもありました。

こういうふうに思わぬところに興味のタネは転がっているものです。

これからもたくさん道草して、未知の草花を発見していきましょう。

ありがとうございました。

 

 

 

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東京バンドワゴン

2016年6月9日

 

 

こんにちは。

 

前回紹介した「おにいちゃんのハナビ」で主演を務めた高良健吾は熊本出身なのですが、

熊本地震後、ボランティアに駆け付けたという記事をご覧になった方も

多いのではないでしょうか。

彼が同じく熊本出身の行定勲監督に「熊本で映画を撮りましょう」と提案し、

石田えり、橋本愛、米村亮太朗、姜尚中、くまモンなどが集結し、

昨年撮影されたのが「うつくしいひと」です。

今、熊本の支援を目的としたチャリティ上映が全国各地で開かれているのですが、

19日(日)にせんだいメディアテークで上映されます。

熊本城はじめ、美しい熊本の景勝地を映画のなかで確認することができる機会です。

入場料は熊本の支援に充てられるそうです。

岩手県では今のところ、7月3日(日)紫波町シワキネマ、

7月31日(日)釜石てっぱん映画祭プレイベントでの上映が予定されています。

興味のある方、お近くで開催される際にはぜひ!

 

さて、今回紹介する小説は小路幸也「東京バンドワゴン」です。

 

東京バンドワゴン

 

東京の下町にある老舗古書店・東亰バンドワゴン。

堀田家は79歳の勘一を筆頭に4世代・8人が暮らす大家族で、

古書店と併設のカフェを切り盛りしている。

亡くなった勘一の妻・サチがストーリーテラーとなり、堀田家に巻き起こる様々な出来事や

堀田家に持ち込まれるちょっとした事件を万事解決していく物語です。

 

前回の予告でもちょっとだけ書きましたが、この作品はシリーズで続いており、

毎年1冊ずつ刊行されているのに伴って、登場人物も年を重ねたり、

新しい登場人物もいたりするのですが、今回は1作目を基準に紹介いたします。

 

まずは当主79歳の勘一は明治から続く古本屋・東亰バンドワゴンの3代目。

矍鑠(かくしゃく)としており、いかにも下町生まれ下町育ちというじいちゃんです。

お気づきになったかもしれませんが、店名の方は旧字の“亰”の字が使用されております。

老舗ならではですね。

その一人息子・我南人(がなと)は60歳で伝説のロッカーで、根無し草のように

フラフラしているわりには家族の一大事という時にはいつのまにか戻ってきて

うまく立ち回ります。

我南人の子・長女はシングルマザーの藍子(35)、元大学講師の紺(34)、

愛人の子供でありますが堀田家の次男として藍子たちと分け隔てなく育てられてきた

旅行添乗員の青(26)、紺の家族、藍子の子供も加わり総勢8名の大所帯で暮らしています。

なので、毎朝繰り広げられる食事のシーンは賑やか!会話が入り乱れているので、

誰の発したセリフなのかよくわからない時も多々ありますが、そのあたりは雰囲気で

楽しんでください。

 

現役のミュージシャンでもある我南人は、金髪頭の目立つ風貌でフラフラしており、

普段は頼りがいがないのですが、孫に「家出は若者の特権だねぇ。年取ってからやると

失踪者になっちゃうからねぇ、今のうちにどんどんやりなさい」とか

「ケンカは若者の特権だねぇ。年取ってからやると犯罪になるからねぇ」なんて

ちゃらんぽらんなくせに妙に含蓄のある言葉を放ったりします。

憎めない人物で、孫からも尊敬されているという奇特な人です。

 

この堀田家を中心に、お店の常連さんやご近所さんなどが加わって、

にぎやかな会話が繰り広げられ、いろんな相談事が持ち込まれてくるのですが、

堀田家の家訓である「文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決」

に則って、事は収まるところに収まります。

このシリーズは大団円の話ばかりなので、安心して読める作品です。

小説界の水戸黄門といったところです。

 

古書店が舞台なので古今東西問わず多くの小説や文豪が紹介されています。

古本屋ってのんびりしているイメージがあったのですが、読んでいると

ずいぶんやること多いんだなぁって、イメージが覆されました。

春夏秋冬の季節の変化を鮮やかに切り取った風景描写も素敵で、

毎年読んでいると堀田家を定点観測する、ご近所さんになった気分です。

2013年にはドラマ化もされましたが、ぜひ原作小説で堀田家を体感して貰いたいです。

 

さて、今回は大家族の小説を紹介しましたので、次回はさらに大人数!

長野の旧家に親族が一堂に会して世界の危機に立ち向かうアニメ映画をご紹介します。

小さい頃の夏休みを思い出します。

(敬称略)

 

 

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おにいちゃんのハナビ

2016年5月26日

 

 

こんにちは。

 

最近、夜空を見上げてなにか気づかれたことありませんか?

火星が地球に接近しているということで、赤い星が煌々と輝いております。

最接近は来週31日で、アンタレス、土星との競演もみられます。

ぜひ夜空を眺めてみて下さい!

 

さて、今回紹介する映画も“夜空を見上げるもの”が描かれています。

国本雅弘監督「おにいちゃんのハナビ」です。

 

おにいちゃんのハナビ

 

舞台は新潟県小千谷市片貝町。

華(谷村美月)の白血病治療のため、5年前に東京から越してきた須藤一家。

華が半年ぶりに退院すると兄・太郎(高良健吾)は高校卒業と同時に引きこもりになっていた。

兄と違って社交的な華は、何とか兄を外に連れ出そうと画策する。

バラバラになりかけた家族を一つにしてくれた片貝まつりの花火に思い入れのある

華のために、地元の同窓生でつくる成人会に参加したり、アルバイトを始めたり

引きこもりから脱する太郎。

しかし、華の症状は悪化し…、というのがあらすじです。

 

中越地震の被災地を映したドキュメンタリー番組で、復興への願いを込めて花火を上げる

模様をとりあげた際にこの兄妹の話も放送され、それがきっかけで映画化されました。

 

太郎は中3という中途半端な時期の引っ越しを余儀なくされ、

周囲にうまくなじめなかったことから引きこもりになるので華はそれを気にしており、

ちょっと過剰じゃないか?という程に兄をきにかけています。

太郎は人と極力接したくないので早起きして新聞配達をはじめるのですが、

華も早起きして自転車の後ろに乗り込んで兄を応援します。なんて健気…。

辛い治療を乗り越えてきたのに明るく振る舞う妹に引っ張られるように、

太郎も彼なりに周囲となじむ努力をしていきます。

父親とうまくいっていなかった太郎ですが、不器用ながら確かな和解を経て、

須藤家はみんなで華の治療を乗り越えようとします。

 

妹のために花火を上げようと引きこもりから抜け出し一生懸命働く兄、

それを見守る家族や地域の人々の温かさがじんわりきます。

誰かのために一生懸命になる姿に人は動かされるものです。

そんな太郎を高良健吾が好演しています。華を演じた谷村美月もスキンヘッドにして

撮影に挑んでいます。

 

片貝まつりの花火は地元の方たちが資金を出し合って、成人や還暦のお祝い、

子どもの誕生、長寿のお祝い、マイホームの購入祝いなど節目の記念として

花火を打ち上げているそうです。

一発一発にみんなの願いや思いが込められているので、一瞬で消える花火でも

みんなの記憶にはずっと残るものになるんでしょうね。

新潟の花火と言えば長岡の花火は有名ですが、調べてみたら新潟県内で開催される

打ち上げ花火の回数がすごくてびっくりしました。

世界的にみても日本人の花火好きは群を抜いていると思うのですが、

その中でもさらに新潟県民の花火好きにはすさまじいものを感じました。

 

毎年、長岡市では慰霊と鎮魂、平和への祈りを込めて、

空に手向ける祈りの花として白菊という花火をあげているそうなのですが、

昨年は戦後70年ということで地方新聞社と協力して各地の花火大会でその白菊を上げ、

ハワイのパールハーバーでも打ち上げられました。

以前も紹介したことがあるのですが花火好きで知られた裸の大将・山下清は

「みんなが爆弾なんかつくらないで

きれいな花火ばかりつくっていたら

きっと戦争なんて起きなかったんだな」

という言葉を残していますが、日本の夏の風物詩は平和の上に成り立っているものなんだ

と改めて感じました。

お兄ちゃんが華のために上げた花火はぜひ映画の中でご確認ください。

 

さて、今回は兄と妹を描いた映画でしたので、次回は家族を描いた小説をご紹介します。

下町の老舗古書店を舞台に繰り広げられる大家族のお話です。

シリーズは毎年春に出版されて続け、最新刊は11作目!ご長寿作品です。

(敬称略)

 

 

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ゴールデンスランバー

2016年5月12日

 

 

こんにちは。

 

5月の連休が終わると7月まで祝日がない!

私が国会議員に立候補したなら、「6月に祝日を制定する」を公約に掲げますね。

(そんな予定はないですが、本当に作ってほしいです)

 

さて、今回紹介する映画は中村義洋監督「ゴールンデンスランバー」です。

 

ゴールデンスランバー

 

仙台市で金田首相のパレードが行われる日、宅配業者の青柳(堺雅人)は

久しぶりに友人の森田(吉岡秀隆)と会う約束をしていた。

青柳は2年前、配達中にアイドルの凛香(貫地谷しほり)を暴漢から助けたことで

一躍時の人となっていた。そんな青柳に森田は「お前、オズワルドにされるぞ」と言い、

二人の乗った車の後ろの道でパレード中の首相が暗殺される。

「とにかく逃げろ!」という森田の言葉に従って車を降りたところ、車が爆発する。

わけがわからないまま逃げるが、テレビでは青柳が首相殺害の犯人であるという報道がされていた。

青柳は自分を犯人に仕立て上げようとしている人間がいることを思い知り、

様々な人の手を借りて逃走する、というのがあらすじです。

 

原作は伊坂幸太郎の小説で、2007年の本屋大賞、山本周五郎賞などを受賞した

ベストセラー作品です。

オズワルドとはジョン・F・ケネディを暗殺したとされる人物ですが、

青柳も首相暗殺の犯人として警察に追われることになります。とんでもなく理不尽…!

無実を証明しようとしても、暗殺に使用したとされるラジコンヘリを操作する人物を

撮影した映像は青柳そっくりの人物。次第にマスコミも過去の青柳の映像を持ち出しては

それらしい表情をしたところをピックアップして「今にして思えば人を見下すような

目をしている」などと言う始末。クリーンなイメージから一気にダークなイメージを

植えつけられ、自分を知らない人間から一方的に疑われます。

根拠があってもなくても疑えますけど、信じるって根拠が必要だから誰にでもできる

わけではないんですよね。

 

八方塞がりの青柳ではありますが、そんな中でも元カノ、大学時代のサークルの仲間、

職場の仲間、そして助けたアイドルなど彼を直接知っている人間は周囲の情報には

踊らされず、彼を信じ続けます。

伝聞ではなく、青柳本人と直にやりとりをした人間にしかわからない、

そういう常日頃からの信頼関係が彼を窮地から救いだしてくれるのですが、

伊藤四朗演じる父親の一言は、胸にジーンとしみました。

 

原作もそうですが細かな伏線が張られています。

花火大会のバイトしている設定も映画らしい派手なラストシーンへの伏線となっています。

この作品はオール仙台ロケで、仙台駅はじめ、勾当台公園、定禅寺通り、藤崎デパート、

広瀬川など「あ!ここ知っている!」というシーンが多いかもしれません。

劇中ではとにかく青柳役の堺雅人が仙台市内を走りまくっています。

2009年の5月に撮影をしていたので、ちょうど時期的に今と同じですし、

ロケ地巡りには絶好かもしれませんね。

私は運よく当たりまして堺雅人、竹内結子、中村監督が出席した舞台挨拶にも行ったのですが、

本好きな竹内結子は滞在していたホテル近くの本屋さんによく出没していたそうで、

私もその本屋さんをよく利用していたのに、一回もお目にかかれなかったのが残念でした…。

 

 

中村監督は今までにも4作の映画を宮城・仙台で撮影いるのですが、

宮城・大和町の実話を映画化した時代劇「殿、利息でござる!」が

今週末14日から全国ロードショーになります。

 

殿、利息でござる

 

今から250年前の江戸時代、藩からの年貢に苦しみ、夜逃げが絶えない宿場町・吉岡宿。

知恵者・篤平治(瑛太)の仙台藩に金を貸してその利息を町のために使う、

というアイディアを十三郎(阿部サダヲ)が中心となって進めていきます。

1000両集めるのですが、今の金額にするとおよそ3億円!

節約を重ね、私財を投げ打ってお金を集めるが・・・、というのがあらすじです。

宮城では先週7日から先行上映が始まっておりまして、私もさっそく観てきたのですが、

町のため、子孫のためになんとかしたい!という十三郎の熱い思いが波紋となって

その波紋に触れた人々がさらに共鳴していく、この連鎖に胸が熱くなりました。

仙台出身のフィギュアスケーター・羽生結弦の出演も話題となっておりますが、

素晴らしいストーリーでしたので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです!

 

さて、青柳たちが学生時代に花火職人のもとでバイトをしており、

花火がキーになっているので、次回は花火つながりの映画を紹介します。

新潟県小千谷市片貝町の花火大会とその町に暮らす引きこもりの兄と病気の妹を描いた

実話を元に描かれた映画です。

(敬称略)

 

 

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半落ち

2016年4月28日

 

 

こんにちは。

 

明日から長い方では10連休という大型連休前でワクワクしていらっしゃる方が多いかもしれませんね。

先週22日に発行になりました、いわにちリビングunの特集はおでかけガイドです。

ぜひ参考にして、楽しい連休をお過ごしください。

 

さて、今回紹介する映画は佐々部清監督「半落ち」です。

 

半落ち

 

3日前、アルツハイマーの妻・啓子(原田美枝子)を殺害した、と

現役の警察官である梶(寺尾聰)が自首してくる。

捜査一課強行犯指導官の志木(柴田恭兵)が取り調べをするが、犯行は素直に供述したものの、

出頭するまでの空白の2日間については頑なに口を閉ざす。

事件を表沙汰にしたくない上層部は嘱託殺人として処理しようとするが、

目撃証言から梶が歌舞伎町にいたことが分かる。その目的を探ろうと志木や

スクープを狙う新聞記者が独自に調べを続けるが…、というのがあらすじです。

 

タイトルの「半落ち」とは警察用語で一部自供したという意味です。

現職の警察官が殺人をしたというだけでも大事なのに、空白の2日間に歌舞伎町へ

行っていた、となると一気に不穏な気配が漂います。

死に場所を探してさまよっていた、と梶は供述するのですが、

釈然としない志木は梶の言葉を待つのですが、上層部はさっさと方をつけたくて

嘱託殺人にしようと躍起になります。

警察という組織の中に身を置き、組織に忠実になる人もいれば、

志木のようにきちんと犯罪の原因に向き合いたい、という人もいます。

とにかく梶がなにかを語ろうとすると邪魔が入る!!

もう梶に語らせてあげて!!!とやきもきさせられます。

 

その後、検察での取り調べ、裁判へと移行していくのですが、

行き過ぎた聴取で自殺者を出してしまい飛ばされた過去を持つ検事や、

自身も痴呆の父を介護する裁判官だったり、人権派の弁護士として一旗揚げようとする

いそ弁(居候弁護士の略で、法律事務所に雇われている弁護士のこと)だったり、

様々な人たちがこの事件に関わってきます。

所属する組織の威信を守るため、正義を貫きたい人、自分の名誉のために事件を

利用しようと考える人、スクープをものにしようとする記者、さまざまです。

おのおの守りたいものがあり、それを守るために他人を犠牲にする必要もあって

そこで生まれる葛藤が切実に伝わってきました。

 

梶が妻を殺害したのは7年前に急性骨髄性白血病で命を落とした息子の命日。

梶は骨髄バンクにドナー登録し、過去に骨髄液を提供したことがあり、

これが空白の2日間に深くかかわっているのですが、知りたい方はぜひ映画で

ご確認ください。

この作品は、おそらく年を重ねた方の方が心に響くのではないかと思います。

観終わって終わりというのではなく、考えさせられる“何か”を残してくれる作品です。

 

さて、映画の撮影というのはいろんな場所で行いますが、この映画も舞台は群馬ですが、

梶が移送される際に通る並木道は、仙台の宮城県庁前で撮影されました。

紅葉の時期に撮影されたのですが、素敵なラストシーンとなって余韻を残しています。

知っている風景も映画の中でみると、また違って見えますよね。

 

さて、この映画も前回に引き続き横山秀夫の小説が原作ですが、

横山秀夫の小説は映画はじめドラマなど映像化されることが多く、

その率、なんと90%以上だそうです。すごい!

そして来月7日には「64(ロクヨン)」の前篇が公開になります。

こちらの作品も前回紹介した「クライマーズ・ハイ」と同様に

NHKで既にドラマ化されているので、見比べるのも面白いかもしれませんね。

 

さて、半落ちの一部が仙台で撮影された、というつながりから

次回はオール仙台ロケの映画をご紹介します。

原作小説は2008年の本屋大賞受賞作で、首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇です。

(敬称略)

 

 

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クライマーズ・ハイ

2016年4月14日

 

 

こんにちは。

 

桜が咲いてから雪が降ってみたり、最近の天気はホントに極端ですね。

体調管理にお気を付け下さい。

 

さて、今回紹介する映画は原田眞人監督「クライマーズ・ハイ」です。

 

クライマーズ・ハイ

 

群馬の地方紙である北関東新聞社で遊軍記者の悠木(堤真一)は、

社内の登山サークルの安西(高嶋政宏)とともに山に登る約束をしていたその前日、

乗客524名を乗せた羽田発大阪行きの日航機が群馬と長野の県境に墜落。

史上最悪となる航空機事故の全権デスクを命じられ、熾烈な報道合戦に身を投じることになる。

大規模事故を報じる新聞社の興奮と激動の一週間を描いた作品です。

 

1985年8月12日に起きた御巣鷹山日航機墜落事故を当時、地方新聞社の記者として

取材した横山秀夫の体験を元に書かれた小説が原作です。

高校野球の話題などが飛び交っていた何気ない編集局の雰囲気が、速報が入るとともに

空気が一変。とにかく丁々発止のやり取りがすさまじく、臨場感を味わえます。

見出しをどちらにするか、どの記事を一面にするか、この事件の全権デスクを命じられた

悠木はとにかくいろんな決断を迫られます。

観ているとどうしても視聴者は主人公に肩入れしてしまうので、横やりが入るたびに

ヤキモキさせられました。

編集局内に怒号が飛び交うようなシーンが多々あるのですが、真夏にクーラーのない部屋で

撮影していたので、本当にイライラしており白熱のシーンが撮れたそうです。

 

今観ると30年以上前の話なので、一番感じるのがやはり通信手段の差です。

一人一人が携帯電話を使用しているような現代とは違って、編集局の電話は黒電話。

現場に行っても通信手段がないために麓に下りて民家の電話を借りるか、

公衆電話を探すという状況で、現場に行った佐山(堺雅人)は現場雑感を

電話してくるのですが、これはとある理由で紙面に載らないのです…。

載せられないことを告げられず、さりとて佐山の決死の取材を無駄にもできず、

メモをとることしかできない…。

その悠木の葛藤が痛い程に伝わってくるけど、山を下りた佐山には噛みつかれるし、

踏んだり蹴ったりですが、そこをまとめていくのがデスクの仕事です。

あとは、自分の机でタバコを吸って灰皿には山のように吸殻が、なんてのは

今の映画ではお目にかかれないシーンですね。

 

クライマーズハイとは登山時に気持ちが高揚し、興奮状態が極限まで達して

恐怖心さえ麻痺してしまうことです。

事故原因に関するネタを掴み、他紙を出し抜いてスクープを抜けるか、

そのネタのウラをとるために佐山からの連絡を待つ悠木をはじめ、

編集部はまさにそのクライマーズハイ状態です。

しかし、そのクライマーズハイが怖いのはそれが解けた瞬間で、

心の中にある不安や恐怖が一気に溢れ出し、全く動けなくなるそうです。

佐山の電話を受け、ゴーサインを出すか否か。

この瞬間に悠木のクライマーズハイは解けて身動き取れない状態になるのですが、

悠木がどんな判断を下すのか、映画でご確認ください。

今は誰でも簡単に情報を発信できるようになりましたが、報道に携わる人でなくても

このウラをとる、という作業を蔑ろにしてはいけないと思いました。

 

この映画はとにかくセリフのやりとりが肝で、演じる俳優も味のある方ばかり。

遠藤憲一、田口トモロヲ、マギー、堀部圭亮、矢柴俊博、滝藤賢一と数え上げると

キリがないのですがその中でも、私は整理部長の亀嶋を演じたでんでんがイチオシです。

私の中では最優秀助演男優賞を差し上げたいくらいでした。

 

この小説は映画になる前にNHKで映像化されており、こちらの悠木は佐藤浩市、

佐山は大森南朋が演じております。

事故に関するストーリーはほぼ同じですが、キャラクターの性格や悠木の家庭の描かれなど

異なる部分が多々あるので、両方観て違いを楽しむことができます。

NHK版では当時のニュース映像がそのまま利用されているので、

当時まだNHKの記者だった池上彰の姿も確認することが出来ます。

個人的には映画版は人間模様や駆け引きの機微、人物の背景の描き方、ストーリーの構成は

NHK版がよかったです。

 

さて、次回も横山秀夫の小説が原作の映画を紹介します。

アルツハイマーの妻を殺害し、3日後に出頭した男の空白の2日を追う物語です。

(敬称略)

 

 

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孤高のメス

2016年3月31日

 

 

こんにちは。

 

明日から4月。東北にもそろそろ桜の便りが届きそうですね。

今の季節にちょうど良い小説がありますので、ちょっとだけご紹介。

彩瀬まる「桜の下で待っている」です。

東北新幹線が舞台の連作小説で、郡山、仙台、花巻など東北の各地が出てきます。

そして裏表紙には岩手の方には馴染み深いソフトクリームが…!

 

桜の下で待っている 裏

 

気になった方はぜひお手に取ってご覧ください。

 

 

さて、今回紹介する映画は成島出監督「孤高のメス」です。

 

孤高のメス

 

時は1989年、大学病院からの派遣医師で成り立っているさざなみ市民病院で働く

看護師・浪子(夏川結衣)は大学病院からの派遣医師がいなければ外科手術もままならない

状況に辟易し、やる気を失っていた。

そのさざなみ市民病院へ市長(柄本明)が病院再生の切り札としてアメリカの大学病院から

呼び寄せた外科医・当麻(堤真一)が赴任してくる。

運ばれてきた急患が市民病院では処置できないと大学病院へ搬送しようとするが、

当麻は素早く処置し、短時間で無事に手術を終わらせる。

地域医療の底上げ、目の前の患者を救うことを身上とする当麻の姿勢に、

周囲の医師、看護師が触発され、市民病院が変わり始める。

そして、当時まだ法制化されていない脳死肝移植に挑むまでを描いた、本格的医療映画です。

 

素晴らしい経歴も技術も持ちながらも、出世などには一切頓着せず、

目の前の患者を救いたい、ただそれだけ!というヒューマニズムに溢れた当麻先生が

ただただ素敵です。

格好つけるでもなく、誠実であり、こんな人格者いない!と思わせておいて、

オペ中に都はるみの演歌を流したり(しかしスタッフには不評)、ちょっと抜けているのが

また魅力の一つです。

 

見栄や体裁への執着、幅を利かせる派遣医師、慣例に縛られ本来あるべき姿を

見失っていたさざなみ市民病院のスタッフが、当麻に同調しモラルも技術も上がっていき、

見るからに生き生きしていく様子はとても爽快です。

 

自分の失敗を隠蔽しようとする先輩医師に盾突くものの、しがらみに絡め取られ

医師としてのやる気を失っていた若い医師に対して当麻は

「医師になることより、医師であり続けることの方が難しい」という言葉をかけるのですが、

ずっしりと重さを感じる一言で、一番印象に残っています。

何においてもそうですが、当初の熱意や志しを維持していくことが物事を続けていく中で

一番大切なことなのだと改めて気づかされます。

 

市長が自覚症状ないまま末期の肝硬変で突然吐血し倒れ、肝臓の移植手術をしなければ

助からないことがわかるのですが、時を同じくして、浪子の隣の家に住み浪子の恩師でもある

静(余貴美子)の高校生の一人息子が交通事故で脳死状態になります。

ボランティア活動に熱心で、福祉大学への進学が決まっていた息子ならば人の役に立つ

この選択を望むはずだ、と静は息子の肝臓を市長に移植して欲しいと訴えるのですが、

もうこの件は思い出しただけも視界がぼやけて…。

現在ではきちんと法制化されていますが、何事も黎明期にはトラブルや批判を乗り越えた

先人がいてこそ、今があることを感じます。

息子を送り出す余貴美子の演技も大変素晴らしく、涙腺の弱い方はハンカチよりも

タオルを準備してみることをおススメします。

その他にも実力のある俳優の豪華共演で、派手さはなく地味ですが骨太で

心の底からジワジワと熱くなる映画です。

 

さて、次回も堤真一が主演の映画を紹介します。

北関東の架空の新聞社を舞台に、未曽有の航空機事故を取材する新聞記者の奮闘を

描いた映画です。

(敬称略)

 

 

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武士の献立

2016年3月17日

 

こんにちは。

 

前回「和菓子とアン」という小説を紹介しましたが、

ブログを読んだ友達から、春らしい和菓子を頂きました。

 

さくら

 

桜の花びらがかわいらしい!

中はあんこと餅が入っていて、桜葉塩漬けが練りこんであるので桜餅風味でした。

最近はお菓子のパッケージにも桜が描かれているものが多くて、春を感じます。

そして本日、「和菓子のアン」の続編となる「アンと青春」が発売になります。

続いて欲しいなーと思っていた小説なのでうれしい!早く読みたいです。

 

さて、今回紹介する映画は朝原雄三監督「武士の献立」です。

 

武士の献立

 

舞台は江戸時代の金沢。

優れた味覚と料理の腕を持つ春(上戸彩)は、気の強さが仇となり

1年で離縁を言い渡された身だが、加賀藩の料理方・舟木伝内(西田敏行)に

料理の腕を見込まれ、彼たっての願いで息子・安信(高良健吾)のもとに嫁ぐ。

舟木家は由緒ある料理方の家だったが、安信は料理の腕はからっきし。

安信が舟木家の後継にふさわしいと認めてもらうため、親戚に料理を振る舞い

その出来を吟味する饗の会(あえのかい)で、安信の料理は親戚一同に不味さを

指摘される始末。春はいたたまれず汁椀をこっそり自分のものと入れ替える。

あまりのおいしさに皆が絶賛し会は無事終了するが、安信は怒り心頭。

出しゃばるな!と罵る安信に春は「聞き捨てならない!」と腕比べを申し出、あっさり勝利。

春は義母(余貴美子)の協力もありながら、安信に料理指南をしていく、

というのがあらすじです。

 

将軍家や大名家には主君とその家族の食事を賄う武士の料理人がおり、

時には諸国大名をもてなす豪勢な饗応(きょうおう)料理を取り仕切ったそうです。

刀を包丁に持ち替え、主君に仕える武士を揶揄と親しみを込めて包丁侍と呼んでいた

そうです。

私、この映画を観るまで、こういう仕事があったこと知りませんでした。

 

最初はぶつかり合いながらも、次第にお互いを認め合い徐々に夫婦となり、

切磋琢磨して精進していく様子が描かれています。

安信は次男で、剣術で身を立てようと道場に通って剣術の腕を磨いていたのですが、

流行り病で長男が亡くなってしまい、料理方を継ぐことになったのです。

しかも剣術を習いに行っていた道場の一人娘と恋仲で、道場に婿養子になるはずが、

舟木家を継ぐためにその話もなくなったのです。

夫に認められようと奮闘する春は、自分の知らない安信のままならぬ思いに静かに心を痛め、

夜中に泣きながらかぼちゃを切り、翌朝の食卓にかぼちゃの煮物がのぼり、

皆に味を褒められるシーンがあるのですが、春にとっては人を笑顔にするのも、

自分を慰めるのも料理、というのがうかがえるとても印象に残るエピソードでした。

 

春のおかげでメキメキと料理の腕をあげる安信ではありますが、

藩内では革新派と保守派との間で不穏な空気が流れており、

改革に燃える親友の言葉に揺れ動き、ついには重臣の暗殺計画に加わってしまいます。

が、それを察知した春はある行動に出るのですが…、

そこから先が気になる方は映画をご覧ください。

 

劇中では旬の野菜の素材の色を活かした料理がたくさん出てきますが、

料理無言抄という伝内と安信が残したレシピ本を元に作られたそうです。

とりわけ、春が母のように慕っていたお貞の方(夏川結衣)に差し入れるお重は

色鮮やかで大変美しく、おいしそうでした。

お弁当やお重って蓋をとって中を見るときのワクワク感がありますよね。

昔の人も現代でも、その思いって変わらないものなんだろうなぁと思います。

和食がユネスコの無形文化財に登録されましたが、脈々と受け継がれている

日本の食文化を感じるにはもってこいの映画です。

ぜひご覧になってみて下さい。

 

刀、包丁と刃物が出てくる映画を紹介したので、次回も“刃物つながり”の

映画を紹介します。

医者が使う刃物と言えばメス。

現役医師が書いた小説をもとに映画化された、堤真一主演の映画です。

(敬称略)

 

 

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和菓子のアン

2016年3月3日

 

こんにちは。

 

前回リオデジャネイロオリンピックを話題にあげましたが、

競歩で花巻出身の高橋英輝さんがオリンピック代表に決まりましたね!

昨年度の岩手日日学生賞を受賞されたので注目しておりましたが、

大変うれしいニュースです。

皆さんで応援して参りましょう!!

 

さて、今回ご紹介するのは前回に引き続き、坂木司の小説「和菓子のアン」です。

 

和菓子のアン

 

梅本杏子(通称:アンちゃん)はやりたいことがまだ見つからない、食べるのが大好きな

ぽっちゃりした高卒フリーター。雨宿りのために立ち寄った百貨店のデパ地下で

和菓子屋「みつ屋」の求人を見つけ、そこでバイトをすることに決める。

美人だけど中身はおっさんの店長・椿さん、中身は乙女な残念なイケメン・立花さんなど

個性が強いながらも、和菓子に関しては一流の人達に囲まれながらバイトに励むなかで

成長していく、というのがあらすじです。

 

今日は桃の節句ですが、この時季のメジャーな和菓子と言えばやはり桜餅ですよね。

桜餅といったら私は道明寺(つぶつぶした楕円形のもの)が真っ先に思い浮かぶのですが、

私の親は長命寺(餡をクレープ状の生地で巻いたもの)の方だそうです。

一般的に関東は長命寺、関西が道明寺だそうです。

和菓子作りを習った友達によると、長命寺が桜餅で、道明寺粉を使ったものは

桜餅とは呼ばないで道明寺って呼ぶんだよ、と言われました。

江戸時代に京都と江戸で競い合い、雅な菓子を作り楽しむ文化が花開いたとされています。

その名残が桜餅にも残っているのでしょう。

このように関東と関西の違いであったり、職人さんが使う専門用語や符牒が謎を解く

ヒントになるのですが、初めて知る和菓子トリビア満載でした。

おはぎが春はぼた餅、秋にはおはぎと呼び方が変わりますが、その他にも

『月知らず』『北窓』『着き知らず』『夜船』『隣知らず』とこんなに呼び方があるのです。

興味のある方は本の中でこの名前の変化の意味をご確認ください。

 

上生菓子は特に季節感がとても大切にされています。

和菓子のことを季語を使って17字で無限の広がりを感じさせる俳句に例えるくだりが

あるのですが、なるほど!その通りだなぁと膝を打ちました。

四季によって風景がさまざまに変わる日本だからこそ発達した文化であり、

手のひらに収まる小ささですがただ美しいだけではなくて、その和菓子の背景にある

物語や言葉遊びを知ると、食べる前から楽しみが広がるというものです。

和菓子とはこんなに奥深いものだったのか!と、この小説を読んでから、

結構和菓子屋さんで上生菓子を見るようになりました。

お茶をたしなむ方であれば上生菓子を召し上がる機会も多いと思いますが、

あまり触れてこなかった方もぜひ見ていただきたいです。

遊び心満載のものも結構ありますよ。

 

SA3D0404    むすび丸

(今までに私が購入したものなので現在は販売していません)

 

アンちゃんも商品をいかにおいしそうに紹介するかで売り上げが全く変わってくる、

ということに気づき、周りの人に聞きながら、そして自発的に和菓子について学ぶようになります。

バイトと言えど店頭に立つからにはお店の人には変わりありません。

精進する姿にがんばれ!とエールを送りたくなります。

 

坂木司の本には、日常のちょっとしたところに潜むミステリ(というよりは謎解き)や、

何気なくやり過ごしてしまいそうなことに改めて気づかされる小説が多いです。

この小説はコミカライズもされているので、小説は苦手だけどマンガは読むという方は

そちらを手に取ってみて下さい。

 

さて、和菓子と言ったら京都・金沢・松江ですが、

来週北陸新幹線が開業1周年を迎えるので、次回は金沢を舞台にした映画をご紹介します。

江戸時代の加賀藩に仕えた実在の武士を描いた時代劇で、武士といっても持つのは

刀ではなく包丁です。

(敬称略)

 

 

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大きな音が聞こえるか

2016年2月18日

 

 

こんにちは。

 

先週末にはどーんと気温が上がって春のような陽気でしたが、一気に冬に逆戻りですね。

体調管理にお気を付け下さい。

 

今回紹介する小説は、坂木司「大きな音が聞こえるか」です。

 

大きな音

 

高校1年生の八田泳(はったえい)は、エスカレーター式の学校なので、

へまさえしなければ大学まで行けるし、唯一の趣味はサーフィンだけど、

それもプロを目指すでもなく楽しいから続けているだけで、何もかもが宙ぶらりん。

ある日、製薬会社で働く叔父がブラジルの奥地に行くことを知る。

ブラジルについて調べていく中で、アマゾンのポロロッカの存在を知る。

この終わらない波に乗ってみたい!

ほんの少しの興味が大きな冒険へと変わっていく、というのがあらすじです。

 

アマゾンといえば、今は大手通販サイトが一番最初に思い浮かんでしまいますが、

由来はやはり流域面積世界一を誇るアマゾン川のように広大なシェアを誇れる会社に

なりますように、との願いが込められた社名なんだそうです。

まぁ、そんな雑学はさておき、泳が興味を持ったポロロッカですが、

一応説明しておきますと、潮の干満の差によって海水が川を逆流する現象です。

いわゆる海嘯(かいしょう)ですが、ブラジルの雨季にあたる春には

海に流れようとする川の水と海水がぶつかり合って、数百キロも川を逆流するそうです。

その波に乗ろうとしているのですが、プロでも危ないのに素人に毛が生えたような高校生が

そんな危険な波に乗ろうとするなんて、当たり前ですが親は反対します。

しかし親も頭ごなしに反対するのではなく、こちらが納得できるだけの材料を揃えてこいと、

端から反対ではなくきちんと聞く耳をもっているところがとても好印象でした。

 

旅費を稼ぐためにバイトを始めるのですが、数々のバイトを通して人と関わり、

自分が今までいかに甘っちょろかったのか気づいていきます。

バイト先の先輩、旅行代理店の担当者、サーフショップの店長、

積極的に何かを教えてくれる人もいれば、自分で気づくように促してくれるだけの人もいます。

旅行代理店の担当者であるジョージはちょっとしたトラブルがあった時に

「なんで教えてくれなかったの!」と責める泳に「聞かれてないから」としれっと答え、

なぜ調べなかったのか、なぜ気づかなかったのか、逆に泳に問いかけます。

干渉されることに飽き飽きしていたのに、いざ自分がトラブルにぶち当たった時には

教えてくれなかったことを人のせいにする、自分の幼稚な部分に気づきます。

親切に周りが教えてくれるのは義務教育の中学校まで、と私も思っているので、

いろんなことにいちいち気づいて自ら学んでいく力を付けていく必要があると思います。

 

ポロロッカに乗りに行く、という目的を達成するためにバイトをして資金を集め、

そのバイトを通して社会を知り、出国する前から泳は成長していくのですが、

いざブラジルに行ってからは、日本と外国の違いにカルチャーショックを受け、

世界の大きさを知っていくことになるのですが、そこから先が知りたい方は

ぜひ本を読んでみて下さい。

前回ちょっとだけ紹介した片桐はいり「グアテマラの弟」と合わせて読むと

南米の文化、経済などについて知ることが出来るかと思います。

 

サーフィン、バイト、ポロロッカ、ブラジルといろいろなことが詰め込まれている感は

ありますが、端的に言えば「かわいい子には旅をさせよ」「百聞は一見にしかず」です。

大人の目線、子供の目線両方で学ぶことの多い一冊です。

高校生くらいの多感な時期には親元を離れて、自分で道を切り開いていくという体験が

後々とても役に立つと思います。

今年はリオデジャネイロオリンピックも開催される注目のブラジルです。

泳を通じてブラジルを体験してみてはいかがでしょう。

 

さて、次回は今回と同じく坂木司の小説を紹介します。

デパ地下の和菓子屋さんを舞台に繰り広げられるちょっとした謎解きが魅力の小説です。

(敬称略)

 

 

 

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